星に願いを

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• 1. 匿名 2023年3月20日 2:19:27

  ＜星に願いを＞
  「……初めてきた時から
  　ここの景色が好きでね。」
  「なんでか　考えてたんだけど
  　きっと　綺麗な海が懐かしかったから
  　なんだろうな……。」
  「来てくれて　ありがとう。」
  「手紙に書いた　話っていうのは
  　例の件についでよ。」

  ＠何か進展があったの？
  　新しい仮説ができた？

  「ううん　その逆。」
  「私が何者なのかについての調査は
  　一旦　中断にしようと思う。」
  　この間の　仮説で
  　だいぶ　満足できたし。」
  「本当は　仮説を立てたら検証を
  　しないといけないんだけどね。
  　科学的には。」
  「でも……　きっとその検証に
  　たどりつくには　あまりにも多くの
  　理論の積み上げが　必要になる。」
  「今の私達の　科学では
  　まったくもって　足りないから。」
  「ああ　言っておくけど
  　諦めたわけじゃないわよ？」
  「足りないって　言い方をしたけど
  　それは　むしろプラスの意味というか……。」
  「……私さ　これまで
  　科学で　解明できないものを
  　躍起になって　解明しようとしてた。」
  「未知のものに対して　焦りや
  　そういうネガティブな感情を
  　感じていたように思う。」
  「それで　解明できないものは
  　オカルトの領域なのだと
  　勝手に　決めつけたりしてさ……。」
  「でも　この世界……
  　リ・ガイアで　生活をして……」
  「……この宇宙が　今の私たちが
  　認識しているものよりも
  　はるかに　広大なんだって気づいたの。」

  ＠伸びしろがあるってこと？
  　これから　見つけるってことか。

  「良い言葉を　持っているわね。」
  「私は　この世界は
  　冷えた宇宙だと思っていたの。」
  「科学の帰結というのは　あまりにも
  　ソリッドなもので　冷たくて……
  　柔軟性がなくてね。」
  「でも……　きっとそうじゃないわ。」
  「宇宙にも　きっと意志が……
  　あたたかさ　みたいなものが
  　あるんだと思う。」
  「私の意識が　たしかに
  　ここに存在するように。」
  「ソリッドじゃない宇宙が
  　たしかに　存在している。」
  「ファジーな宇宙とでも
  　言えばいいのかな……。」
  「量子論とか　観測者問題とか
  　そういうことではなくてね。」
  「その　今は目に見えない領域に
  　人類は　いつかたどり着ける。
  　いいえ。たどり着いてみせる。」
  「だって　私たちは
  　自分が住んでる　この星のことだって
  　まだ何も知らないんだから。」

  　そうだね。
  ＠これから　知っていくんだ。

  「今すぐに　とはいかなくてもね。」
  「ひとっ飛びには　いかないのも
  　私たち　人類がつくった科学だから。」
  「どんな時も
  　”巨人の肩に乗れ”よ。」
  「一歩一歩　着実に進めるの。
  　その着実さこそが　科学の……
  　人類の最大の武器だからね。」
  「そうやって　探究をやめない限り
  　いつかきっと　私たちは
  　宇宙の真理にだって　辿り着ける。」
  「それが科学のロマンチシズムよ。」
  「………。」
  「……ねぇ　○○。」
  「今回の調査で　もう一つだけ
  　考えたことがあるの……。」
  「私の意識が　どうして
  　星の記憶領域に　囚われていたのか。」
  「これは　あくまで直感で
  　仮説じゃない。」
  「なんの意味もないけど……
  　でも　あんたにだけ教えてあげる。」
  「きっと……
  　私たちの意識が生まれたのは……」

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